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鎖骨骨折bone fracture page No.1

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鎖骨骨折は 、転倒により肩や肘を突いたときにその外力が鎖骨に作用して起こります。従って、柔道、レスリングやラグビーなどのコンタクトスポーツ、あるいはスキー、スノーボード、スケートボードなど転倒の多いスポーツでは頻度が高い骨折です。また労働では建築現場での転落や転倒などで多く見られます。
このページでは、鎖骨の構造概要と代表的な鎖骨骨折について解説します。

鎖骨の構造概要

鎖骨の形状

鎖骨は胸骨と肩甲骨の肩峰との間に位置する管状の骨です。形状はS字もしくはクランク状と表現され、上面から見ると骨幹の外側で後方へ、内側で前方へ突出したカーブとなっています。また、鎖骨は外側へ向かうほど平たく、その断面は細長い楕円形を呈しており、逆に内側に向かうほど丸みを帯びた三角柱状になっています。

右鎖骨周囲の骨格図

鎖骨の部分名称

鎖骨の両端は関節軟骨で形成され、胸骨と関節する内側の先端を胸骨端(きょうこつたん)といい、その関節面を胸骨関節面(きょうこつかんせつめん)といいます。一方、肩峰と関節する外側の先端を肩峰端(けんぽうたん)といい、その関節面を肩峰関節面(けんぽうかんせつめん)といいます。

鎖骨上面の図

鎖骨下面の胸骨端側には、やや隆起した粗面が有ります。これを肋鎖靱帯圧痕(ろくさじんたいあっこん)といい、ここに第1肋骨と連結する肋鎖靱帯(ろくさじんたい)が付着します。
一方、鎖骨下面の肩峰端側にも隆起した粗面が有り、その最も隆起した部分を円錐靭帯結節(えんすいじんたいけっせつ)といい、ここに肩甲骨烏口突起と連結する円錐靭帯が付着します。また、円錐靭帯結節から肩峰端へ向かってやや隆起した稜線が続き、これを菱形靭帯線といいます。ここには肩甲骨烏口突起と連結する菱形靭帯が付着します。

鎖骨下面の図

鎖骨の靱帯

鎖骨は外側で鎖骨の肩峰端と肩甲骨の肩峰で肩鎖関節(けんさかんせつ)を構成しています。この肩鎖関節を連結する靱帯が肩鎖靱帯 です。また、鎖骨肩峰端の下面には、肩甲骨の烏口突起との間を連結する烏口鎖骨靱帯が付着し、鎖骨と肩甲骨の連結を補強しています。この烏口鎖骨靭帯は、やや外側に位置する菱形靭帯と、その内側に位置する円錐靭帯の2つの靭帯で構成されています。
一方、鎖骨の内側では鎖骨の肩峰端と胸骨の鎖骨切痕(さこつせっこん)で胸鎖関節(きょうさかんせつ)を構成し、前方を前胸鎖靱帯、後方を後胸鎖靱帯で連結しています。また第1肋骨との間に肋鎖靱帯、対側の鎖骨内端との間に鎖骨間靱帯が有り、さらに強固に補強しています。

鎖骨の靭帯図

鎖骨の運動

鎖骨の運動は胸鎖関節を軸に起こります。その動きは鎖骨の肩峰端が前後上下に動く他、鎖骨の軸回旋も起こります。これらの運動は肩甲骨や上腕骨の動きと連動したものとなります。
具体的な例として、鎖骨は上肢の前方挙上運動に際し、その長軸を後方へ回旋して連動します。逆に上肢を挙上位置から下ろすときや後方へ伸展するときに、その長軸を前方へ回旋して連動します。また、上肢を外転(肩関節を中心に側方挙上)する場合や肩甲骨を上方へ挙上 (肩をすくめる動作)する動きに対して、胸鎖関節を中心に鎖骨肩峰端を挙上する運動を行います。

鎖骨に付着する筋肉

鎖骨本体の外側1/3上面には、頭部や頚部と連結する僧帽筋(そうぼうきん)が付着し、下面には第1肋骨と連結する鎖骨下筋(さこつかきん)が付着します。一方、鎖骨の内側前面には大胸筋(だいきょうきん)の一部が付着しています。また、鎖骨の内側上面には頭蓋骨と連結する胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)が付着しています。この胸鎖乳突筋は2つに分かれて胸骨上部にも付着しています。
これら鎖骨に付着する筋肉は、鎖骨骨折の骨片転位に影響を及ぼします。従って、鎖骨骨折の整復や固定では、これらの筋肉の緊張を緩める姿勢を考慮して施行されています。

鎖骨に付着する筋肉の図

 僧帽筋(そうぼうきん)
後頭骨の最上項線や外後頭隆起という部分から、項靱帯、第7頚椎棘突起、 第1胸椎〜第12胸椎棘突起に始まり、肩甲骨の肩甲棘、肩峰、鎖骨外側に付着する筋肉で、背部から見ると左右を合わせた形状が菱形を呈し、僧侶がかぶる帽子、即ち僧帽に見えることからこの名称が着けられています。
この僧帽筋は鎖骨や肩甲骨の挙上運動の他、肩甲骨の回転運動や頭部の回転運動などに働きます。

 胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)
胸骨及び鎖骨内側の2箇所より始まって一体化し、側頭骨の乳様突起と後頭骨の上項線に付着する筋肉です。顎の先端を上に向ける動作や首を横に倒す動作などに働きます。

 鎖骨下筋(さこつかきん)
第1肋骨の肋軟骨(胸骨に関節する軟骨部分)から始まり、鎖骨下面に付着する筋肉です。上腕の運動に連動する鎖骨の運動に対して、鎖骨を支えて胸鎖関節を保護し安定させる働きがあります。

 大胸筋(だいきょうきん)
鎖骨内側、胸骨、肋軟骨、腹直筋鞘から起こり、上腕骨の大結節稜(大結節から続く隆起した粗面)に付着します。主に上腕の内転と内旋運動に働きます。

右大胸筋の図

鎖骨骨折の概要

鎖骨はクランク状に曲がった形状の骨であるため、転倒して肩などを突いたときに鎖骨の長軸方向に外力が働くと、その曲がった部分に強い屈曲力や剪力が働いて骨折を生ずるケースが多く見られます。従って、鎖骨骨折で多いのは骨のカーブ部分である中外1/3部と内中1/3部となります。
また、鎖骨は外側ほど扁平で薄い形状となり内側は太くて三角柱状の形状をしている点で、その強度は外側ほど弱く、身体の外側という外力の受けやすい部分であるために、鎖骨外端部骨折も比較的多く見られる鎖骨骨折です。
鎖骨骨折は年齢によっても特徴があります。小学生以下の小児では、弾力性に富んだ骨質を有するため、骨折を生ずると、完全に離断せずに若木が折れ曲がるような屈曲骨折を起します。しかし、成長が進んで成人の骨と同様の骨質に変わると、一般的に見られる骨折のようにポキリと折れて、2つ以上の骨折片に離断します。また、年齢が高くなるほど骨質の弾力性が失われていくために、骨片が3つ以上に離断する骨片骨折や粉砕骨折を起こしやすくなります。鎖骨外端部の骨折でも、若年者よりも高齢者の方が多くなる傾向があります。若年者では、鎖骨外端に外力が加わると靱帯断裂による肩鎖関節脱臼に至る場合が多いのですが、高齢になると骨質が脆くなるために、同様の外力でも外端部を骨折するに至る傾向が高くなっています。

鎖骨骨折発生幾序の略図

鎖骨骨折は年齢によっても特徴があります。小学生以下の小児では、弾力性に富んだ骨質を有するため、骨折を生ずると、完全に離断せずに若木が折れ曲がるような屈曲骨折を起します。しかし、成長が進んで成人の骨と同様の骨質に変わると、一般的に見られる骨折のようにポキリと折れて、2つ以上の骨折片に離断します。また、年齢が高くなるほど骨質の弾力性が失われていくために、骨片が3つ以上に離断する複数骨折や粉砕骨折を起こしやすくなります。鎖骨外端部の骨折でも、若年者よりも高齢者の方が多くなる傾向があります。若年者では、鎖骨外端に外力が加わると靱帯断裂による肩鎖関節脱臼に至る場合が多いのですが、高齢になると骨質が脆くなるために、同様の外力でも外端部を骨折するに至る傾向が高くなっています。

鎖骨の若木屈曲骨折

※ 小児の若木屈曲骨折
小児の鎖骨は、弾力性が高く柔らかいため、みずみずしい若木がぐにゃと折れ曲がるような骨折をします。従って骨折をしても完全にその骨が離断されるわけではないので、簡易な固定で比較的短期間に骨癒合が完成します。また、屈曲変形した部分も完全に矯正する必要はなく、成長と共に自然矯正(自家矯正力)が起こり、後遺症も残さず良好に治ります。
小児の若木屈曲骨折についての詳細は「鎖骨の若木屈曲骨折」のページをご覧下さい。


鎖骨中1/3部骨折

鎖骨の中1/3部とは、鎖骨の外側のカーブした部分から内側のカーブした部分までの中央部をいいます。この部分に起こる骨折が鎖骨骨折の中で最も多く見られます。特に外側や内側のカーブした部分(中外1/3境界部と内中1/3境界部)で起こる骨折が大半を占めます。これは、転倒などにより肩や手を突いたときに、外力の作用と自重の反作用が鎖骨の長軸方向に働くとき、このカーブの部分で相反する力が衝突し剪力となって骨を破綻するためです。

 病態
典型的な症例では、中枢骨折片は胸鎖乳突筋の張力により後上方へ引き上げられ、末梢骨折片は上肢帯の自重により下垂します。また胸筋や背筋群の張力により、末梢骨折片は身体の正中軸方向へ短縮転位します(下図参照)。
骨片が3つ以上になる複数骨折を生ずるケースも有り、特に30代以降になるとその頻度も多くなります。この様な3つ以上の骨片になるのは、鎖骨がクランク状に曲がっていることが大きな要因となっています。

鎖骨中1/3骨折の略図

 症状
鎖骨骨折があると、骨折部分に一致して鎖骨に限局した圧痛があります。また骨片転位があれば、健側(骨折していない側)と比較して患側(骨折している側)の肩幅が狭く見え、内側骨折片の先端が上方に突出した階段状変形が観察されます。
骨折により生じた皮下出血は、始めは骨折部周囲に見られますが、徐々に胸部や腋の下に広がります。

正常な鎖骨のレントゲン画像
鎖骨中1/3部骨折のレントゲン画像

 治療
治療は整形外科の管理の下で行われます。
骨折片の転位があれば整復して転位を除去しますが、あまり正確な整復を要する部位では無いので、少々転位が残っても問題はありません。ただし、骨折片の転位が大きいまま放置されると、骨癒合が成されないまま偽関節を生じたり、骨癒合がされても過剰な仮骨形成による変形治癒や、周囲の神経圧迫による神経損傷などの弊害が起こることがあるので、できる限り骨折片の転位を除去し、その状態を保持する固定が施行されます。
固定は、患側上肢の下垂を防止し、両肩を開いて胸を張るような姿勢を保持する方法が施行されます。固定材料としては、包帯と副子を利用する場合と、鎖骨固定用のバンド(クラビクルバンド)と上肢支持帯装具の組み合わせなど、骨折の状態によって工夫されます。
固定期間は、年齢や骨折状態により異なりますが、一般的に4〜6週が目安です。また、患側上肢を三角巾や上肢固定帯などを使用している場合は、関節拘縮を起すことがあるため、それら上肢を支える装具は2週程度で除去します。
手術による整復や固定は通常選択されませんが、スポーツや労働への復帰のために手術を行う場合があります。手術によるメリットは、骨折片の再転位の防止、過剰な仮骨形成の抑止、固定期間の短縮などが得られることです。しかし、手術の際に施行される内固定により、「仮骨の形成不全による癒合遅延偽関節」、「内固定除去後の骨の穴が残存することで再骨折の危険性を生ずる」などの弊害もあります。

※ 手術が選択される適応条件

 骨折片の転位が大きく、骨癒合が充分に成されない恐れがあるもの。

 骨折片、あるいは仮骨形成により、鎖骨下の血管や神経が圧迫されてしまうもの。

 第3骨折片の介在により、整復や固定保持に支障があるもの。

鎖骨中1/3部に生じた骨片骨折の画像

 経過と予後
一般的に、骨癒合の進行が順調であれば、日常生活動作ならば2〜3ヶ月で完全復帰できますが、コンタクトスポーツ(格闘技やサッカー、ラグビー、バスケットボールなど)では、完全な骨癒合の前に転倒や接触などで患部に強い外力を受けると再骨折を起こします。再骨折の時期が受傷後1〜6ヶ月の間に見られ、平均3.5ヶ月といわれています。スポーツ復帰に際して、2〜3ヶ月の期間は患部に負荷のかからない部分のトレーニングを行い、3ヶ月目ぐらいから患部周囲の筋肉トレーニングを開始が目安で、どんなに早くても5ヶ月目ぐらいからの完全復帰が理想といえます。復帰を急ぐあまりに再骨折をしてしまえば、復帰の時期をさらに遅延させることになるばかりでなく、最悪の場合スポーツを断念することになりかねないので慎重な回復計画を勧めます。
予後は日常生活レベルにおいては良好です。また、変形癒合しても幼児や成長期の青少年ならば、自然に自家矯正力が働いて、ほぼ元の形状に修復されていきます。この様な成長期や健康な成人ならば固定除去後のリハビリも不要です。一方で、高齢者、糖尿病など身体の代謝に影響を及ぼす疾患を有する患者では、肩関節の拘縮や周囲組織の萎縮が起こり、二次的変性に陥る場合や、骨の癒合不全による偽関節などを生ずる事もあります。従ってこの様なケースでは、固定期間中であっても状態に応じた早期の運動療法が行われます。


鎖骨外端部骨折

鎖骨の外端部を打撲などで直接打ち付けたり(直達性外力)、転倒により肩の外側から突上げたとき(介達性外力)に起こる骨折です。
鎖骨外端部骨折は、骨の強度が低下する高齢になるほど頻度が高く、若年者ではスポーツ中の打撲など直達性外力による受傷が多いのですが、鎖骨外端部骨折を生じるよりも、靱帯断裂による肩鎖関節脱臼に至る例の方が圧倒的に多いようです。
この骨折は、肩甲骨と鎖骨を連結する 烏口鎖骨靱帯の損傷の有無や、骨折線が関節軟骨に及ぶか否かによって骨癒合に影響があるため、治療方法の選択を判断する判定基準としてNeerの分類があります。

※ 鎖骨外端部骨折のNeerの分類

 T型: 骨片転位が無い、あるいはあっても僅かで、烏口鎖骨靱帯断裂を伴わないもの。

 U型: 中枢骨片が上方転位し、烏口鎖骨靱帯断裂を伴うもの。

 V型: 鎖骨肩峰端の関節面に骨折があるもの。

T型は、関節軟骨や烏口鎖骨靱帯の損傷を伴わない鎖骨外端部骨折で、靱帯損傷を伴わないため、骨片転位はあっても大きな転位にはなりません。このタイプの骨折は骨折部分の可動が少なく固定に際し、比較的安定した整復位保持が得られます。従って、治療は整形外科医の管理の下に、鎖骨固定バンドやギブス、あるいは8字包帯固定などで保存療法となります。固定期間は4〜6週で、運動療法は固定除去後より開始します。


鎖骨外端部骨折Neer1

U型は烏口鎖骨靱帯の断裂を伴うことで、中枢骨片が靱帯による支えを失い上方へ大きく転位します。特に烏口鎖骨靱帯の完全断裂を生じたケースでは、徒手的に骨片転位を整復して正常な位置に戻し、しっかりした固定をしても、すぐに再転位してしまいます。従ってU型の骨折で外固定による整復位保持が困難な場合は、整形外科医により手術的に整復、固定が施されます。運動療法は固定方法により6週〜8週後より開始します。

鎖骨外端部骨折Neer2

V型は、鎖骨肩峰端の関節軟骨部分を含む骨折で、血管分布に乏しく順調な骨癒合が得られにくい部位となります。
従ってU型の合併など転位の大きなケースでは、癒合遅延偽関節を防ぐために整形外科で手術的に整復、固定をします。

鎖骨外端部骨折Neer3-1
鎖骨外端部骨折Neer3-2

その他、固定期間中に骨癒合促進のための低周波療法や超音波療法を施行する場合もあります。また、高齢者や糖尿病罹患者では肩関節の拘縮を生ずることがあるので、固定期間中でも早期の運動療法を施行する場合があります。
予後は、骨癒合完了まで骨折部分の安静を保持できれば良好です。しかし、癒合完了まで4〜6ヶ月を要するため、スポーツの早期復帰による再骨折の問題があります。
詳細は鎖骨中1/3部骨折の経過と予後と同様なので参照してください。


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