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成長期の前腕骨遠位端は、主に骨端軟骨と呼ばれる成長軟骨で構成されています。骨端軟骨には、骨形成の核となる骨端核があり、骨端核と骨本体との間に介在する骨端軟骨部分は骨端線と呼ばれます。また、成長期の骨本体は有機質を多く含み、若木のように柔軟性と弾力性に優れた骨質を有します。従って、成長期の前腕遠位端部の骨折は、骨端線を損傷する骨端線離開や、若木骨折といった骨折形態を生ずることが多くなります。
前腕骨遠位端部骨折の中で最も発生率の高い橈骨遠位端部(とうこつえんいたんぶ)の単独骨折です。
橈骨遠位端部骨折の形態は、骨折部分が骨の長径方向に押し潰されて竹節状に膨隆する竹節状若木骨折、骨折部がぐにゃりと折れ曲がるようになる若木屈曲骨折、骨幹と骨端の境界部辺りで骨が完全に離断する完全骨折、骨端線部分で骨折する骨端線離開があります。骨端線離開(こったんせんりかい)とは、成長軟骨層のある骨端軟骨に骨折を生じて骨の離断が起こったもので、簡単にいえば成長軟骨の骨折です。
完全骨折や骨端線離開で転位のある骨折では、末梢の骨折片が中枢の骨折片に対して背側(後方)へ転位する場合をコーレス骨折といい、逆に末梢の骨片が掌側(前方)へ転位する場合をスミス骨折といいます。このコーレス骨折は、転倒したときに前腕回内位で手のひらを突いて生ずる場合が多く、一方のスミス骨折は、転倒したときに前腕回外位で手のひらを突く、あるいは自転車のハンドルを握った状態での転倒、または前腕回内位で手の甲を突くなどでの受傷例が多く見られます。
竹節状の若木骨折では、いわゆる「ひび」と同様の状態なので、患部の安静固定をしっかり行えば、3週程度でほぼ治ります。
若木屈曲骨折では、骨の離断している部分と連続性の保たれている部分があり、連続性の保たれている側に屈曲し、離断している側が突出します。この若木屈曲骨折の場合、その屈曲変形を矯正して固定しますが、固定中も骨の連続性の保たれている側に引っ張られて再度変形することもあり、骨折部分が安定するまでの観察が重要となります。
骨端線離開では、骨の成長を妨げてしまう恐れのある骨端線閉鎖が起こることもあるのですが、橈骨遠位端部の骨端線離開では、この様な成長障害を起こすことは滅多にありません。しかし、転位のある骨端線離開を生じたらできるだけ2日以内に整復・矯正しないと整復が困難になり、成長障害や変形治癒(変形したまま骨折部分が癒合したもの)を生じることがあります。
若木屈曲骨折や骨端線離開では、骨癒合が成されるまでに約4週の固定を要します。なお、骨癒合に著しい支障がなければ手術に至ることはありません。
コーレス骨折やスミス骨折では、転位が大きい場合、橈骨と尺骨の間を繋ぐ靱帯を断裂して尺骨の脱臼を伴う場合や、靱帯と接続する尺骨の茎状突起(けいじょうとっき)の剥離骨折を伴う場合があります。このコーレス骨折の場合、固定肢位(固定時の姿勢)は前腕を回内位とし、手関節は掌屈(手のひら側に曲げる)で固定を施行します。一方、スミス骨折の場合の固定肢位は前腕を回外位とし、手関節は背屈(手の甲側に曲げる)で固定を施行します。尚、骨端線離開の場合でも、転位の方向がコーレス型の場合はコーレス骨折と同様の肢位で固定処置が行われ、逆に転位の方向がスミス型の場合はスミス骨折と同様の肢位で固定処置が行われます。
橈骨も尺骨も同時に骨折したもので、幼小児では骨端線離開や若木骨折となります。
両骨骨折では骨折片の転位が大きく、完全に骨折部が離断している場合は骨折部が不安定なため、仮骨形成が進む2週目ぐらいまでの間は、骨折片の再転位に注意が必要です。
転位の方向は、主に遠位骨折片が背側へ転位するコーレス型と、遠位骨折片が掌側へ転位するスミス型に分かれます。
整復や固定もそれぞれコーレス骨折やスミス骨折に準じて行われます。尚、両骨骨折の場合は、骨折部が不安定で整復位保持が困難な場合があり、そのようなケースでは整形外科で手術的に内固定を施行します。
若木骨折では、変形の少ないものは心配ありませんが、屈曲変形が顕著な場合、整復後も再度変形することが多いので、骨癒合が進んで安定する3週目ぐらいまでは、骨折部の観察が欠かせません。
両骨骨折の固定期間は、骨癒合状態により4週から6週程度となります。
両骨骨折では、後遺症として変形治癒や過剰仮骨形成、またそれらによる正中神経麻痺などを生ずることがあります。正中神経麻痺を生ずるような変形を生じた場合は、整形外科による骨切り術などの手術により神経の圧迫原因を除去します。尚、成長期の骨は変形したまま癒合しても、正常な状態に戻ろうとする自然自家矯正力を有しているので、周囲の神経や血管などへ影響がない場合は、経過観察となることがあります。変形の程度次第ではその自家矯正力により、正常な形態に近い状態までの回復が期待できる場合があります。一般的に幼児ならば20度以下の屈曲変形ならば自家矯正が期待できるとされていますが、10歳以上の年長児では、できる限り変形を矯正すべきとされています。
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