本文へスキップ

日本独自に伝承される柔道整復の専門家による情報ページ

お問い合わせ先TEL.045-574-0401

〒230-0077 神奈川県横浜市鶴見区東寺尾1-39-3 ラ・フォーレモンテ1階店舗

腓骨骨幹部疲労骨折sports medicine page No.9

※営利を目的とした、当サイト内の画像等の無断使用は禁止です。
尚、当サイトの画像等をご利用の際には、必ず「秋元接骨院HPより転用」と明示してください。
※当サイト内の挿絵では、組織や部位を識別できるように色分けをしていますが、実物の色とは異なります。
Copyright © 2012 秋元接骨院 秋元 英俊

腓骨骨幹部疲労骨折の概要

腓骨(ひこつ)は体重加重による影響を受けないのですが、ランニングやジャンプなどの運動の際に内側と外側へ繰り返し「たわむ」ため、その反復による応力で疲労骨折を起こします。
この腓骨の「たわみ」は、腓骨に付着する筋肉の牽引作用によるもので、その動作により跳躍型と疾走型に分けられます。

 腓骨の跳躍型疲労骨折の概要と発生幾序
主に腓骨骨幹部の上1/3部に起こる疲労骨折で、かつてはウサギ跳び運動で多く見られた骨折です。しかし、現在はウサギ跳び自体がほとんど行われていないので発生頻度は低くなっていると考えます。ウサギ跳びの他ではバレーボールやバスケットボールなどで、しゃがみ込みから伸び上がったり、低い姿勢からジャンプするなどの反復動作で起こることがあるようです。
この腓骨跳躍型疲労骨折は、腓骨骨幹部の上1/3を頂点として外側に大きくたわみが起こり、そのたわみの繰り返しにより金属疲労のごとく腓骨がひび割れていきます。
たわみの原因となるのが腓骨頭に付着するヒラメ筋と、腓骨頭と腓骨骨幹部上1/3に付着する長腓骨筋の張力作用となります。低くしゃがみ込んだ姿勢からジャンプするときに足関節は内反底屈しながら地面を押し離す動作をしますが、この時にヒラメ筋と長腓骨筋が強く収縮し、腓骨骨幹部上1/3が外側へ引っ張られます。この外側への引っ張りが尺骨のたわみの原因となっています。また、ウサギ跳びでは、大腿部の後面と下腿の後面が衝突するように接触することで外側へのたわみがさらに強くなります。

ヒラメ筋略図
長・短腓骨筋略図

跳躍時の腓骨の振幅運動
跳躍型腓骨疲労骨折

 腓骨の跳躍型疲労骨折の症状・治療・予後
症状は、腓骨骨幹部上1/3に限局した圧痛と腫脹、荷重歩行痛、しゃがみ込みや低い姿勢から立ち上がる時の疼痛誘発などが観察されます。
X線検査では、腓骨骨幹部上1/3の圧痛部位に一致した辺りに骨膜反応像、骨硬化像や帯状硬化像、骨折線などの何れかの反応を観察します。特に腓骨上1/3部の内側や後面にこれらの反応が多く見られます。
治療は、患部の安静が基本です。歩行痛などの運動痛が強い場合は包帯・副子による固定を施行します。安静・固定期間は4〜6週が目安です。練習再開は2か月経過後が一般的で、基礎トレーニングから徐々に負荷を掛けるように指導します。練習再開初期は跳躍やランニングは禁止し、ニーベントウォークなどで脚力を強化し、ウォーキングや軽いジョギング程度から始めるのが再発を予防します。
予後は比較的良好です。ウサギ跳びなどの特殊な練習は再発の危険度が非常に高いので禁止すべきです。

※ 骨膜反応像 periosteal reaction image
骨膜は骨の外周を覆う線維性の膜組織ですが、レントゲン画像では通常描出されない組織です。しかし、外傷や炎症などで骨膜に骨新生が起こるとレントゲンに描出されるようになります。骨膜反応を生じた場合、骨表面に付加されたような物質が白く(明るく)描出されます。

※ 骨硬化像 sclerosing lesion of the bone image
骨折部分をX線で撮影すると、2週間経過後ぐらいから両骨折端の間に仮骨形成が進むため薄く白い物が写ります。この仮骨が次第に骨に変わって行くたびに白さが増して明るく濃くなっていきます。また骨折部分が近傍の非骨折部分よりも太く膨れ上がっているように見えます。この様な骨折の癒合過程において、X線画像で観察される造骨過程の状態を骨硬化といいます。
骨硬化像が見られるのは、骨折による癒合過程でのみならず、骨髄炎や骨膜炎などの炎症、骨形成性腫瘍や癌の骨転位などでも特徴的な骨硬化像が見られます。
一方で、骨壊死、骨萎縮、骨粗鬆症など、骨が脆くあるいは骨の成分が少なくなっていき、X線画像で暗く薄くなっていく状態を骨吸収像といいます。遷延治癒(骨折部の癒合遅延)では骨折端に骨吸収像が見られます。

※ 帯状硬化像
X線などの画像検査において、疲労骨折の骨折線が骨を横断していたり、あるいはそれに近い広い範囲で骨損傷を生じていると、白く明るく映る濃度の濃い骨硬化像がその骨折線や骨損傷部分に沿って帯状に広がっている様子が観察されます。この帯状に映し出された骨硬化像を帯状硬化像といいます。

※ ニーベントウォーク(膝曲げ歩行:knee bended walking)
ニーベントウォークは脚部の筋肉を回復するために考えられた運動法のひとつです。
筋肉回復のためにジョギングやランニングなどを行うと地面からの衝撃など、骨や軟骨に掛かる負担のために再発の心配やトレーニングが勧められないなどの不安があるようです。しかし、この運動法ならば少なくとも地面からの衝撃の不安は解消でき、効果的に脚部の筋力を回復することができます。
以下にニーベントウォークの手順とポイントを示します。
 左右の歩幅を肩幅程度に広げて真っすぐ立った状態から、膝と股関節を80〜90度程度まで曲げ、スクワットをしているような姿勢をします。
 両腕は肘を伸ばしたまま前方へ90度挙上した位置とし、前方へゆっくりと歩いていきます。歩くときは踵から着いて足全体で踏みしめ、最後はつま先で押し離すように足を運びます。
 この運動の注意点として、足先と膝の先端は前方へまっすぐ向けること(決して外向きや内向きにならないように注意)、背筋を伸ばし目線は真っすぐ前方へ向けて上半身や膝、股関節の肢位を保持したまま進むことが大切になります。身体が上下や前後に大きく動くような動作をすると効果がありません。重心を一定に保ったまま歩くことがポイントです。
 歩く歩数は10〜20歩を1セットとして5セット程度は行うようにしてください。膝や股関節を90度近くに曲げるのが辛い場合は70度程度でも構いません。また、ニーベントウォークと普通のウォーキングを交互に織り交ぜた方法も効果があります。


 腓骨の疾走型疲労骨折の概要と発生幾序
腓骨骨幹部疲労骨折の疾走型は、ランニングやジャンプにより発症するもので、主に腓骨骨幹部の中央より下部、特に下1/3部に多く見られる損傷です。
ランニング時に腓骨は内外側へ振幅しますが、その振幅は下1/3部を頂点とした振幅となり、特に内側への振幅は外側への振幅よりも大きくなります。これは、外側への振幅を引き起こす長・短腓骨筋の影響よりも、内側へ引っ張る長母指屈筋と、それと協力する足底屈筋群の張力や、足関節背屈筋群の内側への張力などの組み合わせが勝るためと考えます。これらの内側、外側への振幅の繰り返しにより疾走型の疲労骨折が起こります。

下腿後方深在筋の略図
下腿前部筋群略図

ランニング時の腓骨の振幅運動
疾走型腓骨疲労骨折

 腓骨の疾走型疲労骨折の症状・治療・予後
症状は、ランニング時やジャンプ時の痛みから始まり、次第に日常生活動作でも痛みを強く感じるようになります。
診察においては、腓骨骨幹部下1/3に限局した圧痛と腫脹、荷重歩行痛、ホップテスト陽性などの症状が観察され、X線では、腓骨骨幹部中央から下部の範囲で、圧痛位置と一致した骨膜反応像、骨硬化像や帯状硬化像、骨折線などが観察されます。X線の観察では不明瞭な場合や他の疾患が疑われる場合は、骨シンチグラフィー、CT、MRI、運動器エコー検査などで判定されます。
治療は患部の安静が基本です。症状が強い場合は、包帯・副子・ギプスなどによる固定が施行されます。また、患部が下位で足関節に近い位置である場合は、足関節をテーピングやサポーターで固定し、足関節の内反を抑制します。
安静・固定期間は4〜6週程度が目安です。練習再開は2か月経過後が一般的で、基礎トレーニングから徐々に負荷を掛けるように指導します。練習再開初期は跳躍やランニングは禁止し、サポーターやテーピングによる保護を施した上で、スクワットやニーベントウォークなどによる脚力強化運動、短時間のウォーキングや軽いジョギング程度から徐々に時間を増やすなど、経過を見ながらの運動復帰となります。
予後は比較的良好です。症状の再発を繰り返すようであれば、練習方法の改善、下肢アライメントや運動方法に対する運動用シューズの改善などを検討する必要があります。例えば「下腿内反(下腿O脚)や、足内反がある場合は、シューズのインソールに外側ウエッジを加える」、「偏平足や、X脚などが有る場合は、シューズのインソールに内側ウエッジやアーチサポートを加える」などの処置が有効です。


<骨折の基本情報・成人の骨折>


<子どもの肩周囲の骨折>


<子どもの肘周囲の骨折>


<子どもの前腕の骨折>


<子どもの膝周囲の骨折>


<子どものすねや足の骨折>


<脱臼>


<捻挫>


<打撲・挫傷>


<スポーツ外傷・障害>


<成長期のスポーツ障害・骨端症>


<その他の筋・骨・関節の障害>


<秋元接骨院テーピング講座>


<秋元接骨院リハビリ講座>

Akimoto judotherapy秋元接骨院

〒230-0077
神奈川県横浜市鶴見区東寺尾1-39-3
ラ・フォーレモンテ1階店舗
市営バス38系統・41系統
バス停宝蔵院前下車すぐ前
TEL 045-574-0401
健康保険・労災取扱・交通事故対応

人工筋肉ソルボセイン